成年後見を利用するリスクとデメリット

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成年後見制度のメリットを知ったところで、デメリットはないのか気になっている方も多いでしょう。

ここからは、法定後見と任意後見について、それぞれのデメリットやリスクについてご紹介します。

法定後見制度のデメリット

デメリット1.家庭裁判所によって後見人が決められる

法定後見では、家庭裁判所から選任された人が後見人となります。

もちろん、誰を成年後見人にしたいかの希望を伝えることはできますが、被後見人の親族が後見人に選任される確率は30~40%程度です。

また、契約の内容が複雑であったり、トラブルが予想される場合は、弁護士などの専門家が成年後見人に選任されることも珍しくありません。

ちなみに、成年後見人に親族以外の弁護士などの専門家が選任されたので申立てを取り消したい、というようなことはできません。

デメリット2.後見人の業務は本人が死亡するまで続く

成年後見人に選任された人は、基本的に対象となる被後見人が死亡するまではずっと被後見人の後見人です。

ただし、後見人が高齢の場合は、後見人自体の判断力が低下してしまっていることもあります。

また、後見人が病気になってしまった、仕事の都合で転勤になってしまったなど、やむを得ない事情で後見人の業務が困難になってしまう場合は、家庭裁判所に申立てををして許可を得ることで成年後見人の職を辞退することが可能です。

デメリット3.相続税対策や財産を動かすことができなくなる

成年後見制度は、被後見人の権利や財産を守ることを前提としているため、被後見人の生活を維持するための出費以外は認められません。

例えば、孫を養子にして法定相続人を増やすというような相続税対策は、被後見人の意思ではないため養子縁組をすることができなくなります。

ほかにも、息子の住宅ローンの担保のために被後見人名義の不動産に抵当権をつけることもできませんし、被後見人の不動産を売買する際も家庭裁判所の許可が必要になりますので、勝手に売却することはできなくなります。

任意後見制度のデメリット

デメリット1.本人の判断力が低下すると契約できない

任意後見のメリットでは、被後見人の判断力が低下していなくても契約できると述べましたが、それがそのままデメリットにもなります。

また、任意後見は後見人を被後見人の意思で決められるため、選ばれる人によっては家族の関係が悪くなってしまうこともあり得ます。

しかも、被後見人がどんなに信頼していた相手だとしても、後見人になった途端、財産を私的利用するなどして裏切るケースも多くあるため、任意後見は自己責任で行わなければならないのです。

デメリット2.本人の死後の処理を委任できない

任意後見は被後見人が死亡すると、任意後見人としての業務も終了してしまいます。

しかし、被後見人が身寄りのない方であれば、死後の葬儀や家の片付け、財産管理などをどうするのかという心配はどうしても出てきてしまいます。

このデメリットをカバーするには、任意後見契約の際に『移行型』を選ぶ方法があります。

移行型とは、任意後見契約の締結と同時に、被後見人の生活支援や財産管理に関する委任契約を締結するというものです。

また、被後見人が遺言を残しておくという方法もありますが、被後見人の死後は任意後見監督人がいないため、被後見人の希望どおりに業務が行われるかどうかの保証はありません。

デメリット3.取消権がない

法定後見の場合は、後見人に代理権と取消権がありますが、任意後見に同意見・取消権はありません。

被後見人が後見人の知らないところで不利な契約をしてしまった場合でも、任意後見人が取り消すことはできないのです。

その場合は家庭裁判所に法定後見人を申立てて、後見人を選任してもわなければなりません。