成年後見と弁護士

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成年後見において誰が後見人になるのかというのは非常に重要です。

今回は、成年後見において弁護士が選任されるケースと弁護士が後見人になるメリット・デメリットについて見ていきましょう。

成年後見で弁護士が選任されるケース

成年後見のうち法定後見では、家庭裁判所から選任された人が後見人となります。申立時に希望を伝えることは可能ですが、必ずしも希望した人が後見人に選任されるとは限りません。

成年後見の申立てのうち6割が弁護士などの専門家であるというデータもあることから、被後見人(対象となる本人)が希望することが多い家族より専門家が後見人になる可能性の方が高いことが分かります。

これにはどのような理由があるのでしょうか?

1.家庭内紛争がある

家族仲が悪いなど家庭内で争いがある場合、被後見人が家族の誰かを後見人にしたいと思っていても、他の家族からの同意を得られないことがあります。

成年後見の申立てでは、必ず被後見人の推定相続人となる親族の意向調査が行われます。この調査で親族の同意が得られなければ申立人である親族が後見人として選任されることはなく、弁護士が選任されます。

2.専門知識が必要となる

被後見人が不動産を多く所持していてその管理が困難、被後見人が相続人となっている相続問題がある場合などでは、弁護士が後見人に選任されます。

例に挙げた内容のように、想定される後見業務の中に、家族では行うことが困難なものがある場合は後見業務が滞ってしまうことが考えられるため、専門知識を持った弁護士が選任されるのです。

弁護士が後見人になるメリット

弁護士が後見人になることのいちばんのメリットは、すべての法律問題を扱うことができるようになるということです。

弁護士は法律の専門家ですので、相続問題や財産管理などで他人と争いごとがあった場合でも対応してもらえますので、被後見人としては安心感があるでしょう。さらに成年後見に詳しい弁護士であれば、その経験を生かした対応をしてくれます。

遺産相続の問題でも、親族が後見人に選任された場合は被後見人と後見人が同じ相続人の立場になることは珍しくありません。

相続人の中に判断能力が低い人がいる場合は遺産分割協議を行うことができない決まりがありますが、弁護士が後見人であれば、そのまま当事者として遺産分割協議に参加することができるのです。

また、後見人に親族が選任される場合は、被後見人の息子や孫であることが多いですが、親族にはそれぞれ自分の生活がありますから、普段の生活の中で後見人の業務を行うというのは分からないことだらけで非常に負担がかかってしまいます。

財産管理などの業務では、適切な業務が行われなかったことが後々のトラブルの原因になることも珍しくありません。しかし、弁護士が後見人であれば、このようなトラブルも回避してくれます。

弁護士が後見人になるデメリット

弁護士が後見人に選任された場合、報酬を支払う義務が生じます。

報酬額については最終的に裁判所が決めますが、月額2万~6万円が相場となっています。後見人の報酬は被後見人の資産から支払われるため、親族から見た場合、いずれ相続するであろう財産が減っていくことは大きなデメリットになります。

後見の期間が長くなれば長くなるほど報酬額も増えていくため、不服に思う親族も出てくるかもしれませんが、不服申立ての制度は現在のところ認められていません。

また、弁護士が後見人の場合は、被後見人の身上監護が不十分になってしまう可能性もあります。

というのも、弁護士は被後見人とは血縁関係のない他人ですから、親族と比べると、どうしても不十分なところが出てきてしまうことで、親族との間にトラブルが発生することもあるようです。